プロのワークフローで学ぶセルルック3Dキャラクター制作と考え方
世界中の様々なトップクリエイターが3DCG、イラスト、動画編集などの専門分野で勉強出来るColosoのサイトで、3DモデラーのHIRO JAPANさんがMayaを使い実践的な仕事で使っている貴重なテクニックやノウハウを学べる講座「プロのワークフローで学ぶセルルック3Dキャラクター制作と考え方」を視聴させて頂きました。
単なるモデリング技術だけではなく、デザイン画の分析方法、リファレンス収集、レイアウトモデル制作、レンダリングモデルへの発展、UV展開、そしてセルルック特有の髪や顔の作り込みまで、実際のアニメCG制作現場で使われている考え方とワークフローを体系的に学ぶことができます。
特に印象的だったのは、「なぜその作り方を選ぶのか」「現場ではなぜその判断をするのか」といった判断基準まで丁寧に解説されている点です。ツールの使い方だけではなく、プロがどのような視点でキャラクターを作り込んでいるのかを知ることができるため、セルルックキャラクター制作の完成度を一段上のレベルへ引き上げたい方にとって非常に価値の高い講座だと感じました。
これからセルルックキャラクター制作を本格的に学びたい方はもちろん、「なんとなく作っている」状態から、現場レベルの考え方や制作フローを身につけたい学生さんには特にオススメできる内容となっていました。
HIRO JAPANさんとは?
HIRO JAPANさんは、セルルック3Dアニメ業界で10年以上キャラクターモデリング制作に関わり、現在はフリーランスのキャラクターモデラーとして活動していて、ゲームやアニメ制作の現場で培った経験を活かし、現在も最前線で活躍しています。
HIRO JAPANさんのXでは3.3万人以上のフォロワーを持ち、3DCGに関するさまざまな技術情報や制作ノウハウを発信しています。
これまでの実務経験をもとに、キャラクターデザインの分析からモデリング、UV・テクスチャ制作、ルック調整、データ整理まで、現場と同じワークフローによる制作手法を解説しています。
また、「なぜこの形状にするのか」「どうすれば綺麗な影が出るのか」といった考え方を重視しており、単なるツール操作や感覚ではなく、誰でも再現できる方法を、根拠を持って学ぶ事が出来ます。
また、現場のルールを学べるので、見た目はもちろんですが、エラーや他の人に渡す為の綺麗なデータ内部の作り方まで説明してくれます。
02.デザイン画の分析
まずは、セルルックキャラクター制作で重要となる「デザイン画の分析方法」を学ぶことができます。イラストを渡されたら直ぐに3D化しようとすると、どのように形状を作ろうか迷う場合がありますが、2D画像を3D化するための分析方法、線の太さや入り抜き、デフォルメ表現など、作画ならではの魅力をどのように3Dへ落とし込むのかを解説しています。
また、正面・斜め・横顔で異なる見え方への対応や、アニメ特有の2D的な嘘を再現するための考え方も紹介。キャラクターの世界観や性格設定から、動いた時の魅力を意識したモデル作りについて解説。
さらに、関節の比率や顔の構造など、アニメーション時の自然な動きにつながる重要なポイントについても解説しています。モデリング前に分析を行うことで、制作中の迷いを減らし、時間を節約しながらクオリティを向上させる方法を学べます。
リファレンスの集め方では、公式設定画やフィギュア、実物資料などから構造やデザインの正解を把握し、説得力のあるモデル制作につなげる考え方を解説しています。
人物とパーツのサイズ感や、イラストから構造が理解できる資料を探す必要性に、Google画像検索やPinterest、AIを活用した効率的な資料収集方法も紹介。必要な資料を素早く集めることで、モデリング時の迷いを減らし、キャラクターの完成度を高める事も解説しています。
04.3D化の為のデザインレタッチ
デザイン画の印象を保ったまま顔を左右対称にレタッチし、3D制作しやすい状態へ整える方法を学ぶことができます。左右非対称なままモデリングを始めると迷いや手戻りの原因になるため、事前に対称化する重要性を解説しています。
また、Photoshopを使った具体的なレタッチ手順を紹介しながら、元のキャラクターらしさを損なわずに3D用リファレンスを作成するコツも学べます。
05.仕様書・スケジュールの確認把握
仕様書の読み方からMayaの制作環境設定、ポリゴン数やテクスチャ解像度など、実際の現場で必要となる制作ルールについて学ぶことができます。仕様書を正しく理解することで、手戻りやエラーを防ぎながら効率的に制作を進められるようになります。
また、レイアウトモデルからレンダリングモデルへの進め方や、命名規則・チェック体制など、プロジェクトで求められる制作フローも解説してくれるので、実際の仕事ではどのように進めていくのか詳しく学ぶ事が出来ます。
06.レイアウトモデルの解説
キャラクター制作の土台となる「レイアウトモデル」の役割と作り方について学ぶことができます。細部を作り込む前に、シルエットや体格、関節位置などを決定し、2Dデザインの魅力を3Dへ落とし込む考え方を解説しています。
単なるラフモデルではなく、リギングやアニメーションにも影響する重要な工程です。プロの制作現場を意識しながら、完成度の高いキャラクター制作につながる基礎を身につけられる内容となっています。
Aポーズ・ポリゴン数・命名規則など現場で重要となるルールについても紹介。後工程での大幅な修正を防ぐためのポイントを学べます。
07.素体の準備
講座に付属する共通素体データを活用しながら、デザイン画に合わせて体格やシルエットを調整する実践的な制作フローを理解できます。人体をゼロから作るのではなく、現場でも使われる効率的なキャラクター制作手法を解説しています。
また、Mayaのイメージプレーン設定やラティス、ソフト選択などを使いながら、正面・側面・斜めからバランスを確認し、関節比率やアナトミーを意識した調整方法についても学べます。
08.顔のモデリング
セルルックキャラクターの顔をデザイン画に合わせながら、輪郭・目・鼻・口・眉毛・まつ毛などのパーツを配置してレイアウトモデルを作成する方法を身に付けられます。正面だけでなく斜めから見た印象も重視し、2Dイラストの魅力を3Dで再現するための顔作りを解説しています。
また、眉毛やまつ毛、二重ライン、瞳、ハイライトなどをテクスチャではなく個別オブジェクトとして作成することで、表情変化やアニメーションに対応しやすい実践的な制作手法も紹介。将来的なリグやモーフ作成まで考えた作り方を解説してくれます。
チェックカメラを使った確認方法や、セルルック特有の輪郭ラインの見せ方、斜め顔を優先したバランス調整など、実際のアニメCG制作で役立つノウハウが詰まった内容となっています。
09.髪の毛のモデリング
3D化で悩みやすい横髪の配置や、斜めから見たときの髪のボリューム感をどのように調整するかを詳しく解説しています。
また、球体から大まかなシルエットを作り、前髪・横髪・後ろ髪を段階的に作成する実践的な制作フローを紹介。折り目ツールやサブディビジョンを活用しながら、アニメらしい影や立体感を意識した髪の造形方法を学べます。
毛束の太さや流れに変化を付けて単調さをなくすテクニックや、さまざまな角度から確認しながらシルエットを整えるポイントも解説してくれます。
10.服のモデリング

トップス・パンツ・タイツ・インナーをシンプルな形状から作り始め、シルエットや服の境界線を整えながら、アニメらしい見た目へ仕上げていく流れを解説しています。
また、服の柔らかさやシワの表現、ベルトやバックルなどの小物制作に加え、動いた際のめり込みや後工程のコストまで考慮した実践的なモデリング手法も紹介されています。
11.靴・アクセサリのモデリング
厚底ブーツやベルト、リボン、髪飾り、チョーカー、懐中時計などのアクセサリーを、既存パーツの流用による効率的なモデリング手法や、レイアウトモデルでどこまで作り込むべきかという実務的な判断基準も紹介。後工程のリギングやアニメーション負荷を考慮した、現場向けの制作ノウハウを学ぶことができます。
さらに、ヒストリー削除やフリーズリセットによるデータ管理、リファレンス収集の重要性なども解説してくれます。
12.UV展開
UV展開を行いながら、効率的なテクスチャ制作につながるUV設定の考え方を知る事が出来ます。UVを事前に展開しておくことで、必要なテクスチャ枚数や解像度の把握、レンダリングモデル制作時の作業効率向上につながるメリットを解説しています。
また、見えにくい場所でUVを切るコツや、便利なプラグイン、UVの歪みを抑えながら格子状に整える方法、解像度を統一する実践的なテクニックも紹介してくれて、後からテクスチャを描きやすくするための工夫も学ぶことができます。
13.マテリアル色別け
テクスチャを使用せずに色分けすることで、ファイル共有時の読み込みエラーや管理コストを減らし、誰が開いても同じ見た目で作業できる方法を学びます。
また、肌・瞳・髪・服・金属パーツなどを効率良く管理するためのマテリアル設定や命名ルール、アニメーターやリガーなど後工程の担当者が扱いやすいデータ作りの考え方も学ぶことができます。
14.データの整理とエラーの確認
細かいオリジナルのチェック項目表を見せてくれながら、完成したレイアウトモデルを提出前にチェックし、エラーのない綺麗なデータへ仕上げるための確認方法を身に付けられます。ポリゴンの重複や不要な面、法線エラー、UVの問題など、現場で発生しやすいトラブルを効率良く発見・修正する手順を解説しています。
単にモデリングを終わらせるだけでなく、実際の制作現場で求められる品質管理と納品フローを学ぶ事が出来ます。
15.レンダリングモデルの解説
レイアウトモデルをベースに映像で使用するレンダリングモデルへ発展させる際の考え方を解説しています。単純にディテールを増やすのではなく、セルルック作品に適した情報量やシルエット、影の見せ方を意識したモデリング手法を、分かりやすい専用資料を見せてくれながら解説しています。
また、Mayaの見た目ではなくペンシルシェーダーによるレンダリング結果を基準に制作を進める重要性や、リアルな作り込みとアニメらしい表現の違いについても紹介。どこを簡略化し、どこにポリゴンを使うべきかという判断基準を学ぶことができます。
16.素体モデルの作成
レンダリングモデル用の人体へブラッシュアップする方法を学ぶことができます。レイアウトモデルで決めた体格や関節位置は維持しながら、手や胴体のシルエット、筋肉や肉感を調整して完成度を高めていきます。
また、セルルックらしさを損なわないように、リアルな人体表現とアニメ調のデフォルメ表現のバランスを取りながら造形する考え方も解説。指や鎖骨、くびれ、腹筋など、キャラクターの印象を左右する部分を重点的に調整する方法が学べます。
17.顔・目・口・眉毛など
輪郭・耳・目・口・眉毛・まつ毛・瞳などのディテールを作り込みながら、動いても破綻しないトポロジーの考え方を学ぶことができます。静止画の見た目だけでなく、フェイシャルアニメーションを見据えた形状調整についても詳しく解説しています。
また、Pencil+によるセルルックレンダリングを確認しながら、リアルな造形とアニメらしいシルエットのバランスを調整する方法も紹介。鼻やまつ毛、眉毛などはテクスチャではなくオブジェクトとして作成し、後から調整しやすい方法を学べます。
18.髪・前髪
前髪をレンダリングモデルへするために、複数の毛束を1つの塊として調整しながら、ラインや影をコントロールしやすい髪モデルの作り方を解説しています。髪を1本ずつ作るのではなく、大きな塊として、アニメらしい整理されたシルエットを実現する考え方を解説しています。
また、毛先をシャープに見せるためのエッジ構成や、毛束の分岐部分を綺麗に見せるトポロジー設計、折り目とサポートエッジの使い分けなど、セルルック特有の髪モデリング技術も紹介。動いた際に不自然な影やラインが出ないように調整する方法を学べます。
19.髪後頭部・生え際
後頭部や生え際、ドリル髪のレンダリングモデルを制作しながら、セルルックキャラクターに適した髪の流れやシルエットの作り方を学ぶことができます。設定画をもとに毛流れに沿ったトポロジーを構築し、結び目から放射状に広がる自然な髪の流れを再現する方法を学べます。
講座後半では、服やパンツ、靴、アクセサリーといったレンダリングモデルの制作工程、UV展開やテクスチャ作成、Pencil+を使用したセルルック表現、レンダリング素材の出力方法まで幅広く解説されています。
また、レンダリング結果を確認しながら修正を繰り返す実践的なトライアンドエラーの流れや、3Dならではの苦手なアングルへの対処方法についても紹介。距離に応じた影やラインの調整など、セルルックキャラクターを魅力的に見せるための考え方も学べる内容となっています。
総合感想
プロのワークフローで学ぶセルルック3Dキャラクター制作と考え方
単にセルルックキャラクターの作り方を学ぶ講座ではなく、実際のアニメCG制作現場で求められる考え方や判断基準まで学べる非常に実践的な内容でした。
特に印象的だったのは、モデリング技術そのものよりも、「なぜその形状にするのか」「なぜその作り方を選ぶのか」といったプロの思考を丁寧に解説してくれている点です。デザイン画の分析からリファレンス収集、レイアウトモデル制作、レンダリングモデルへの発展、UV展開やデータ整理まで、一連の制作フローを学べる内容となっていました。
また、見た目のクオリティを上げる方法だけではなく、リギングやアニメーション、他スタッフとのデータ共有まで見据えた現場レベルのデータ作りについても学べるため、独学ではなかなか身につかない実務的な知識が数多く盛り込まれています。
セルルックキャラクター制作をこれから学びたい初心者はもちろん、すでにモデリング経験がある方でも、「なんとなく作る」から「理由を持って作る」へとステップアップする事が可能で、プロの制作フローを学びたい方にとって非常に価値の高い講座だと感じました。
Mayaを使ったセルルックキャラクター制作の技術だけでなく、長く現場で活躍するための考え方や品質管理の意識まで学べるため、アニメCG業界を目指す学生さんや若手モデラーにもおすすめできる講座となっています。
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