数々のBlender動画をyoutubeで公開している、Blender Guruさんが映画 シャイニングのエレベーターから血が飛び散るワンシーンを例に、Blenderで再現した映像と実写がどのように違いがあるのか解説している動画を公開しています。
・Blenderを使用してまずはモデリングとマテリアル設定でシーンを作成
まずは、CGで作成されたシーンと実写の違いを比較する為にBlenderで室内シーンを作成します。
撮影された映像のワンシーンからFspyを使用して室内のアングルを合わせてBlenderでモデリング作業を2日で完成させ、天井にライトを設置、高品質なテクスチャは有料サイトのPOLIGONから8Kサイズのテクスチャをダウンロードしてマテリアル設定を完成させます。ただし、全てのマテリアルを設定しても3Dレンダリングしただけの偽物の画像の様に見えます。なぜでしょうか?
・GRAIN
モデルとマテリアルを設定しただけでは偽物に見える一つの理由にフィルムやデジタルカメラセンサーにある自然なノイズ効果であるグレインが足りてない事です。
ただし、レンダリングを低く設定して追加されるノイズは違います。CGノイズの場合は斑点がバラバラですが、カメラノイズの場合は均一です。
その為、レンダリングではノイズが追加されないようにレンダリングして、最後にAEプラグインなどでコンポジットする時にノイズを追加する必要があります。
・FOCUS
さらにカメラのフォーカス設定も重要です。3Dレンダリングされた画像は均一にどこをみても画像がシャープに見えますが、実際は違う為、Blenderの被写界深度を有効にしてボケを追加する必要があります。
・LEVELS
最後に波形とヒストグラムを使用してカラーグレーディングする方法を解説していますが、それぞれのオブジェクトを間近で見てマテリアルの色等は調整が必要です。
-液体を作成する
血の液体はBlenderで自然な液体を作成できる有料のアドオンFlip Fluidsを使用して作成されています。シミュレーションには室内のモデルをローポリに変換して不要な部分でシミュレーションされていないか確認する事や、最終的に良い見た目になったら最終シミュレーションで数日待ち、1つの間違いをみつけて最後は6日間かけてベイクしてシミュレーションが完成。その後、マテリアルを設定して最終的なレンダリングは4日かけて作成されています。
-実写撮影した際の予算
実写撮影した場合は5万~15万ドル程掛かる計算になりますが、CGの場合は1万4千~2万ドルほどになるとの事です。
-CGはリテイクが可能だけど
実写ではセットを組んで実写撮影をしても何らかのアクシデントが発生する可能性があり、カメラの位置が気に食わなかった場合は再度多額のセットを組んで撮影する必要がありますが、CGの場合だとモデルを再利用したり柔軟に変更する事が可能ですが、今回の例だと、実写に忠実に合わせるにはさらに液体を細かくするとベイクに大幅な時間が掛かり、壁などに血が飛び散っても壁は白いままだったりと、リアルにCGを完全に一致するにはさらに時間と手間が必要になってきます。
ちなみに動画で使用されているFLip Fluidsは定価76ドルで販売されていますが、ほとんどの機能が使用出来るデモバージョンがgithubで無料使用出来るので気になる人はこちらのページも参考にしてください。